QLD州の高校から大学進学する方法|日本人留学生向け

留学

QLD州の高校からオーストラリアの大学へ進むには、自動進学ではなくQCE取得、ATAR、前提科目、英語要件、出願手続きなどの条件を満たす必要があります。

特にYear 10〜11の科目選択から大学進学を逆算することが重要です。本記事では留学生向けにQCEとATARの違い、進学の流れ、学年別の準備、直接入学以外の進学ルートを分かりやすく解説します。

日本の高校から海外大学を目指す場合も含めて比較したい方は、高校生が海外大学へ進学する方法もご覧ください。

QLD州の高校から大学へ進む2つの基本ルート

QLD州の高校卒業後の進路は、大きく「大学へ直接進学するルート」と「進学準備コースを経由するルート」に分けられます。

大学のBachelorへ直接進学する

QCE、ATARまたは大学が認める選考基準、前提科目、英語要件を満たしてBachelorへ進む方法です。

高校卒業後すぐに学士課程を開始できるため、FoundationやDiplomaを経由するよりも留学期間を短くしやすい点がメリットです。

一方で、Engineering、Nursing、Health、Scienceなどの分野では、高校で数学や理科の指定科目を履修していることが求められる場合があります。

ATARが大学の基準に達していても、必要な前提科目を履修していなければ、希望コースへ直接入学できない可能性があります。

FoundationやDiplomaから大学を目指す

直接入学の学力条件や英語条件を満たしていない場合は、次のような進学ルートがあります。

  • Foundation
  • 大学付属カレッジのDiploma
  • TAFE・VETコース
  • 大学進学英語コース
  • Bridging course

Foundationは大学進学に必要な基礎学力やアカデミック英語を学ぶコースです。

Diplomaは大学1年次に近い内容を学び、所定の成績を満たすことでBachelorの2年次相当へ進める場合があります。

ただし、進学できる大学・専攻、必要成績、認定される単位数はコースごとに異なります。入学前に「Diploma修了後に、どのBachelorの何年次へ進めるのか」まで確認することが重要です。

オーストラリアの単位認定や編入については、オーストラリア大学編入ガイドでも解説しています。

QCEとはQLD州の高校修了資格

QCEはQueensland Certificate of Educationの略で、QLD州のシニア教育を修了したことを示す資格です。

QCEを取得するには、必要な学習量、達成基準、学習パターン、リテラシー・ニューメラシーなどの条件を満たす必要があります。

QCAAの公式情報では、原則として対象となる学習から20 creditsを取得し、指定された学習パターンと達成基準を満たすことが示されています。また、2026年のYear 12修了者からは、Academic Integrity Courseの修了もQCEの要件に含まれます。

QCEの最新条件は、以下の公式ページで確認できます。

なお、QCEを取得することと、希望する大学に合格することは別です。

QCEは高校教育の修了資格であり、大学進学ではATAR、前提科目、英語力、追加選考などが別途確認されます。

ATARとは大学入学選考に使われる順位

ATARはAustralian Tertiary Admission Rankの略です。

テストの点数そのものではなく、同年代の学生の中で学業成績がどの位置にあるかを示す順位指標です。QLD州の対象者については、QTACがATARを算出します。

ATARを取得するための科目構成

QLD州でATARの算出対象になるには、原則として次のいずれかの科目構成を修了する必要があります。

  • General subjectsを5科目
  • General subjectsを4科目とApplied subjectを1科目
  • General subjectsを4科目とCertificate III以上のVET資格

これに加えて、対象となる英語科目をC以上で修了する必要があります。

英語科目の成績は、必ずATARの計算に使われるわけではありません。ベスト5のscaled resultに含まれる場合にATARへ反映されます。

最新の対象科目や計算条件は、以下から確認してください。

QCEとATARの違い

QCEとATARは一緒に説明されることが多いものの、役割は異なります。

項目QCEATAR
主な役割QLD州の高校教育を修了したことを示す大学入学選考で使われる順位を示す
管理・算出QCAAQTAC
大学進学との関係高校修了資格として確認される多くの大学・コースの選考に使用される
取得条件credits、学習パターン、達成基準、英語・数学等の要件対象科目の組み合わせ、英語科目の修了等
注意点QCEだけで大学合格は保証されないATARだけで前提科目や英語条件は満たせない

大学進学を目指す場合は、「QCEを取得できる科目構成」と「ATARを取得できる科目構成」の両方を確認する必要があります。

大学入学で確認される4つの条件

QLD州の高校から大学へ進む際は、ATARだけを見て判断しないことが重要です。

1.Academic entry requirement

大学やコースが定める学力条件です。

Queensland Year 12の修了や、コースごとのminimum entry score、selection rankなどが確認されます。

例えばUQでは、Queensland Year 12または同等の資格を修了し、希望プログラムのminimum entry scoreを満たすことが、学部入学で検討される基本条件として案内されています。

ただし、minimum entry scoreを満たせば必ず合格できるわけではありません。募集人数を上回る出願がある場合は、応募者がselection rankなどに基づいて順位付けされます。

2.Prerequisite subjects

大学の特定コースでは、高校で指定科目を履修していることが求められます。

代表的な科目には、次のようなものがあります。

  • General Mathematics
  • Mathematical Methods
  • Specialist Mathematics
  • Biology
  • Chemistry
  • Physics
  • English

特に医療、看護、工学、科学、教育などを検討している場合は、Year 10の段階から前提科目を確認しましょう。

コースページには、次のような表現で掲載される場合があります。

  • Prerequisite
  • Assumed knowledge
  • Recommended study
  • Subject prerequisite

これらは意味が異なるため、「推奨科目だから履修しなくても問題ない」と自己判断せず、大学や学校の進路担当者へ確認することが大切です。

3.English language requirement

QLD州の高校で英語による教育を受けていても、すべての大学・コースで英語試験が自動的に免除されるわけではありません。

大学は、主に次の項目を確認します。

  • 英語で教育を受けた年数
  • 在籍していた国や教育制度
  • 履修した英語科目
  • Year 12での英語成績
  • 高校卒業から大学入学までの期間
  • 志望コース固有の英語条件

一般コースの入学英語条件を満たしていても、看護、教育、医療などでは、実習や専門職登録に関係する別の英語基準が設けられていることがあります。

英語試験が必要な場合は、オーストラリア留学・大学進学に必要なIELTSガイドも参考にしてください。

4.Additional requirements

専攻によっては、ATARや英語力以外の提出物・選考があります。

  • Portfolio
  • Audition
  • Interview
  • Personal statement
  • Questionnaire
  • Aptitude test
  • Police check
  • Vaccination record
  • Blue Cardなどの適格性確認

Design、Architecture、Music、Fine Arts、教育、医療系などを検討する場合は、追加選考の有無と締切を早めに確認しましょう。

Year 10〜12の大学進学準備

Year 10|大学名より先に学びたい分野を決める

Year 10では、進学したい大学を1校に絞る必要はありません。

まずは興味のある分野を2〜3つ程度に整理します。

例:

  • Business・Accounting
  • IT・Data Science
  • Engineering
  • Nursing・Health
  • Education
  • Design・Architecture
  • Psychology
  • Tourism・Hospitality

そのうえで、複数大学のコースページを確認し、必要な数学・理科・英語科目を比較します。

Year 11以降に履修科目を変更すると、前提科目を最後まで修了できない場合があります。特に理系分野の可能性がある人は、Year 10の科目選択を慎重に行いましょう。

QCAAも、Year 10の科目選択では、希望する進路や大学コースを考慮し、学校の先生や進路担当者と相談することを案内しています。

Year 11|成績と英語力の差を確認する

Year 11では、志望コースの入学条件と現在の成績を比較します。

この時期に確認したいのは、次の項目です。

  • 現在の科目でQCE・ATARの条件を満たせるか
  • 志望コースの前提科目を履修できているか
  • 現在の成績から目標ATARを目指せるか
  • 英語試験が必要になる可能性があるか
  • FoundationやDiplomaの候補があるか

Year 12の結果が出てから代替ルートを探すのではなく、直接入学とpathwayの両方を調べておくことがポイントです。

Year 12|出願と進学準備を並行する

Year 12では、次の情報を一覧にして管理しましょう。

  • 志望大学・コース
  • 出願方法
  • 出願期限
  • 希望順位
  • 前提科目
  • 必要ATAR・selection rank
  • 英語条件
  • 追加選考
  • 奨学金
  • Foundation・Diploma候補
  • オファー後の手続き

大学出願全体の流れは、オーストラリア大学出願の6ステップでも詳しく解説しています。

QTAC出願と大学直接出願の違い

QTACは、Queensland Tertiary Admissions Centreの略です。

QLD州内の大学や一部の州外教育機関への出願、希望コースの登録、オファー管理などを行います。

QTACのApplicationでは、複数のコースを希望順に登録できます。出願時期、offer round、preferenceの変更期限などは年度ごとに確認が必要です。

留学生もQTACを利用する?

大学、コース、現在の教育課程によって異なります。

例えばQUTでは、オーストラリア国内または海外でAustralian Year 12 curriculumを学ぶ留学生に対し、QTACからの出願手順を案内しています。QTACでは最大6コースまで希望を登録できます。

一方、留学生向けの直接出願システムを用意している大学もあります。

そのため、次の順番で確認するのがおすすめです。

  1. 志望コースの公式ページを確認する
  2. International applicationの説明を確認する
  3. Australian Year 12 student向けの案内を確認する
  4. QTAC経由か直接出願かを大学へ確認する

「留学生だから必ず直接出願」「QLD州の高校生だから必ずQTAC」と決めつけないようにしましょう。

ブリスベン・周辺エリアの主な進学先

QLD州には多くの大学がありますが、ブリスベンやゴールドコースト周辺の高校生が比較しやすい代表的な大学は次のとおりです。

大学主なエリア確認する公式ページ
The University of Queensland(UQ)ブリスベンUndergraduate entry requirements
Queensland University of Technology(QUT)ブリスベンInternational Year 12 students
Griffith Universityブリスベン・ゴールドコーストInternational applications
Bond UniversityゴールドコーストInternational entry requirements
University of Southern Queensland(UniSQ)トゥーンバほかApplying to UniSQ
James Cook University(JCU)タウンズビル・ケアンズほかInternational applications

大学名や総合ランキングだけでなく、次の項目を比較してください。

  • 学びたい専攻が開講されているか
  • 希望キャンパスで受講できるか
  • 前提科目を満たせるか
  • 直接入学とpathwayの選択肢
  • 実習やインターンシップ
  • 学費と生活費
  • 通学方法と住居
  • 卒業後に必要な資格・登録

QUTを検討している方は、以下の記事も参考にしてください。

Griffith Universityを検討している方は、グリフィス大学ビジネス学部のコース解説もご覧ください。

ATARが希望コースに届かなかった場合の選択肢

希望するATARやselection rankに届かなかった場合でも、大学進学を諦める必要はありません。

Foundationへ進学する

大学で必要なアカデミック英語、数学、ビジネス、科学などの基礎を学び、所定の成績を満たしてBachelorを目指します。

大学や専攻によっては、Foundation修了後の進学先が限定されます。

DiplomaからBachelorを目指す

Diploma修了後、関連するBachelorの2年次相当へ進める場合があります。

ただし、単位認定や進学保証はコースによって異なります。

別のBachelorからtransferする

入学可能な関連コースへ進み、大学入学後の成績を使って希望コースへのtransferを目指す方法です。

競争率の高いコースでは、transfer枠が限られることがあります。

TAFE・VETから進学する

職業教育資格を取得し、大学とのarticulation agreementやcredit transferを利用する方法です。

すべてのTAFE・VETコースが大学編入につながるわけではないため、入学前に進学先と単位認定を確認してください。

Bridging courseで前提科目を補う

数学や理科の前提科目が不足している場合、大学指定のbridging courseを修了することで条件を補える場合があります。

よくある質問

QLD州の高校を卒業すれば、QLD州の大学へ優先的に入れますか?

QLD州の高校卒業だけで、大学への入学が保証されるわけではありません。

QCE、ATARまたはselection rank、前提科目、英語条件、追加選考など、志望コースの条件を満たす必要があります。

QCEを取得すればATARも取得できますか?

QCEとATARは別の制度です。

QCEの取得条件を満たしていても、ATAR算出に必要な科目構成や英語科目の条件を満たしていなければ、ATARを取得できない場合があります。

オーストラリアの高校に通えばIELTSは不要ですか?

大学とコースの英語要件によって異なります。

QLD州の高校で学んだ期間や英語科目の成績が認められる場合もありますが、一律に免除されるわけではありません。

ATARが低かった場合でも大学へ進学できますか?

Foundation、Diploma、TAFE・VET、bridging course、別コースからのtransferなどが候補になります。

必要な成績や単位認定は進学ルートごとに異なるため、第一希望と代替ルートをあらかじめ比較しておきましょう。

留学生はQTACと大学直接出願のどちらを使いますか?

大学、コース、申請者区分によって異なります。

Australian Year 12 curriculumを学ぶ留学生にQTAC出願を指定している大学もあるため、大学のInternational Year 12向け案内を確認してください。

Year 12になってから大学を決めても間に合いますか?

文系など前提科目が少ないコースでは選択肢を残せる場合があります。

ただし、数学・理科の指定があるEngineering、Health、Scienceなどでは、Year 10〜11の科目選択が進学先に影響します。できるだけ早く候補コースを確認しましょう。

まとめ|大学進学はYear 10〜11の科目選択から始まる

QLD州の高校からの大学進学では、高校修了資格のQCEと選考指標のATARを分けて考えることが大切です。

特に理系・医療・教育などの分野では高校での前提科目が進路を左右します。また、直接入学以外にFoundationやDiplomaなどの進学ルートも視野に入れておくと安心です。希望コースの条件から逆算し、Year 10〜12の計画を早めに立てましょう。

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