オーストラリアとカナダは人気の留学・移住先ですが、永住権の取りやすさは国名だけでは決まりません。
カナダは国内の学歴や職歴が中心で、オーストラリアは対象職業やスキル査定が重要になります。
本記事では2026年7月時点の公式情報をもとに両国の制度を比較し、ブリスベン留学から永住を目指す際のポイントを解説します。
永住権を目指しやすいのはどっち?

オーストラリアとカナダでは、永住権を申請する際に重視されるポイントや仕組みが大きく異なります。
- カナダ:学歴や英語・フランス語の試験結果、年齢、職歴などを点数化するシステム(CRS)や、現地での就労経験、各州からの推薦(PNP)が非常に重要視されます。
- オーストラリア:国が指定する職業リストに自分の仕事が入っているか、専門機関の「スキル査定」を通過できるか、そして年齢や英語力・ポイント(点数)をどれだけ満たせるかが鍵になります。
カナダとオーストラリアの永住ルート比較
| 比較項目 | カナダ | オーストラリア |
| 主な制度 | Express Entry、州推薦(PNP)など | 189(独立永住)、190(州推薦)、491(地域準州)、雇用主スポンサーなど |
| 特に重要な要素 | 総合点数(CRS)、カナダ国内での職歴、州の推薦 | 対象職業、スキル査定、ポイントテストのスコア、州推薦 |
| 留学後の主な就労制度 | PGWP(卒業後就労ビザ) | 卒業生ビザ(Temporary Graduate visa / subclass 485) |
| 職種の考え方 | 職業分類(NOC・TEER)、各州の需要やカテゴリー別招待 | 職業リスト、査定機関、各州が求める対象職種 |
| 年齢の影響 | 総合点数(CRS)の評価項目の一つ | ビザの申請条件やポイントに大きく影響(特に35歳以下などが目安) |
| 地域別の制度 | 各州が独自に行うPNP(州推薦プログラム) | 190・491などの州や地域(リージョナル)による推薦制度 |
| 向いている人 | 現地で学歴や専門的な職歴を積んでいきたい人 | 目指す職業や保有する資格が明確で、ポイントや英語力を高められる人 |
制度のポイントと注意点
- カナダ(Express Entry)
カナダの主要な仕組みである「Express Entry」では、候補者がスコア(CRS)順に並べられ、条件を満たした上位者に申請の招待が届きます。最近では一般的な一律の抽選だけでなく、フランス語能力や特定の職種(医療や技術職など)に特化したカテゴリー別の招待も重視されています。また、各州の推薦(PNP)を受けると大きな加点が得られます。 - オーストラリア(ポイント制)
オーストラリアの技術移民(189・190・491など)はポイント制を採用しており、まずは「Expression of Interest(EOI)」という意思表示を行います。法律上の最低ラインは「65ポイント」ですが、実際の合格ライン(カットオフ)は職種やビザの種類によって異なり、実際にはより高いスコアが求められるケースが一般的です。
参照元・参考情報
- カナダ移民局(IRCC):Express Entry Rounds of Invitations
- オーストラリア内務省(Department of Home Affairs):SkillSelect Previous Rounds
まず確認したい5つの質問

国を比較する前に、現在の自分の状況を整理しておきましょう。
1. 現在の年齢はいくつか
オーストラリアでは、年齢がビザの申請条件やポイントに直接関係するケースが多くあります。
特に留学後の就労に利用されるTemporary Graduate visa(subclass 485)は、基本的に申請時35歳以下であることが条件です。一部のパスポート保持者や資格には例外があります。
カナダでも年齢はCRSに影響しますが、年齢だけで判断されるわけではありません。英語・フランス語、学歴、職歴、州推薦などを含めて総合的に評価されます。
2. 日本でどのような職歴があるか
すでに専門職としての職歴がある場合、留学せずに申請可能なルートや、大学院などで専門性を高めるルートが考えられます。
反対に、職歴が少ない場合は、留学後に現地でどのような仕事に就くかまで考えて学校を選ぶ必要があります。
3. 将来どの職業語力を目指せるか
英語力は、学校への入学だけでなく、卒業後ビザ、スキル査定、ポイント、就職にも影響します。
「入学に必要な最低スコア」だけではなく、卒業時や永住権申請時に必要となるスコアまで逆算することが大切です。
IELTSの種類や目的別スコアについては、オーストラリア留学・永住権に必要なIELTS対策で解説しています。
5. 住む都市や地域を柔軟に選べるか
カナダのPNPもオーストラリアの州推薦も、州や地域ごとに条件が異なります。
バンクーバー、トロント、シドニー、メルボルン、ブリスベンなどの大都市だけに限定すると、利用できる地域制度が限られる可能性があります。
カナダで永住権を目指す主な方法

1. エクスプレス・エントリー(Express Entry)
カナダの経済移民制度の中心となる仕組みです。主に次の3つのプログラムが管理されています。
- Canadian Experience Class(CEC):カナダ国内で一定の就労経験を得た人が対象
- Federal Skilled Worker Program(FSWP):カナダ国内外で専門的な職歴を持つ人が対象
- Federal Skilled Trades Program(FSTP):技能職の経験や資格を持つ人が対象
登録したプロフィールをもとに、年齢、学歴、職歴、言語能力などが「CRS(総合点数)」で数値化され、順位付けされます。ただし、条件を満たして登録するだけでは永住権は取得できず、定期的な抽選(ラウンド)で移民局から申請の招待状(ITA)を受け取る必要があります。
2. 州推薦プログラム(PNP:Provincial Nominee Program)
カナダの各州や準州が、地域の人材不足を補うために独自の基準で候補者を推薦する制度です。
「現地での就労経験」や「雇用主からの仕事のオファー(ジョブオファー)」、「その州の学校を卒業していること」などが条件になることが多く、州ごとにルールが異なります。大都市だけでなく、地方の州なども視野に入れることで選択肢が大きく広がります。
3. カナダ留学後の卒業後就労ビザ(PGWP)
カナダの学校を卒業したあと、現地で職歴を積むためのビザが「PGWP(Post-Graduation Work Permit)」です。ただし、学校を卒業すれば全員が無条件で取得できるわけではありません。
確認すべき主なポイントは以下の通りです。
- 対象校・プログラムか:移民局が定めた認可校(DLI)の対象プログラムであること
- コース期間:原則として8ヶ月以上のプログラムであること
- 言語要件:2024年11月以降の申請では、英語やフランス語の試験結果(IELTSなど)の提出が必須です。大学(学士・修士・博士)の卒業者はCLB7(IELTS各技能6.0程度)、カレッジなどの修了者はCLB5(IELTS各技能5.0程度)などの基準を満たす必要があります。
- 学習分野の条件:プログラムの種類や専攻によっては、労働市場の需要に合った分野であるかどうかも影響します。
なお、留学生のキャンパス外での就労(オフキャンパス就労)は、一定の条件を満たす場合、授業期間中であっても週24時間まで認められています。
カナダ移民局(IRCC):Post-graduation work permit: Who can apply
参照元・参考情報
カナダ移民局(IRCC):Express Entry Rounds of Invitations
オーストラリアで永住権を目指す主な方法

オーストラリアの永住権制度には複数の種類がありますが、留学から目指す場合は「卒業後にどのような職業に就きたいか」を最初にはっきりさせることが一番の近道です。
オーストラリア永住権全体の仕組みについては、オーストラリア永住権の取り方・条件・留学からのルートもあわせてご覧ください。
1. 独立技能移住ビザ(Subclass 189)
州や雇用主のスポンサー(保証人)を必要としない、完全にポイント制(点数計算)ベースの永住ビザです。ご自身の職業、年齢、英語力、学歴、職歴などをポイント化し、政府のシステム(SkillSelect)を通じて申請の招待(インビテーション)を受ける必要があります。
2. 州推薦永住ビザ(Subclass 190)
オーストラリアの各州・準州政府から推薦(ノミネーション)を受けて申請する永住ビザです。国が定めるビザの基本条件に加えて、推薦してほしい州が定めている職業リストや、現地の就労状況などのルールをクリアする必要があります。
3. 地域準州就労ビザ(Subclass 491)
人口が集中する大都市以外の「地方エリア(指定地域)」に住み、働くための5年間の暫定ビザです。州政府の推薦などを利用して取得し、現地で一定期間の生活や就労などの条件を満たすことで、将来的に永住ビザ(Subclass 191)への道が開けます。
4. 雇用主スポンサービザ
オーストラリアの企業から雇用主としてのサポート(スポンサー)を受け、就労ビザや将来的な永住ビザを目指す方法です。企業側と申請者側の双方に厳しい条件があり、「専門学校を卒業して現地企業に就職すれば必ずスポンサーが得られる」というわけではありません。
5. 卒業生ビザ(Temporary Graduate visa / Subclass 485)
オーストラリアの認可されたコースを無事に卒業した留学生が、現地で一定期間滞在し、フルタイムで働くためのビザです。年齢、保有する資格、英語力、コースの在籍期間などの細かい要件を確認して申請します。
- ※なお、ポイント制ビザ(EOI)を申請する前には、ご自身の職業に対応する専門機関から「スキル査定(職業評価)」を受ける必要がありますが、485ビザ用の査定がそのまま永住ビザに使えるとは限らないため注意が必要です。
💡 学生ビザの就労制限について
オーストラリアの学生ビザでは、コース(授業)の期間中、**「2週間(Fortnight)ごとに合計48時間まで」**アルバイトなどの就労が認められています(※授業が休みの期間中は無制限で働くことができます)。
ブリスベン留学から永住権を目指す場合の注意点

ブリスベンは「地方(Regional)」ではない
クイーンズランド州の州都であるブリスベンは、移民法上では主要都市に分類されており、移住制度上の「地方(Regional)エリア」には含まれません。 そのため、「ゴールドコースト」や「サンシャインコースト」など、指定された地方エリアに住む場合とは制度の扱いが異なるため注意が必要です。都市名だけで判断せず、実際の住所の郵便番号が regional に該当するかを確認しましょう。
州推薦の条件は毎年変わる
クイーンズランド州(Migration Queensland)でも190や491の推薦を行っていますが、対象となる職業、必要な職歴、現地の居住・雇用条件などは年度ごとに見直されます。 入学時点では対象だった職業が、卒業する頃には条件が変わっているリスクもあるため、州推薦だけに頼るのではなく、複数の選択肢を想定しておくことが大切です。
学校名よりも卒業後の職業から考える
永住権を視野に入れて留学を計画する際は、語学学校や専門学校の名前を最初に見つけるのではなく、次の順番で組み立てていくのがおすすめです。
- 卒業後に目指す具体的な職業を決める
- その職業がオーストラリアの対象職業リストやスキル査定の対象になるか確認する
- 求められる学歴・実習・職歴・英語力を把握する
- それらの条件を満たすことができるコース(学校)を探す
- 卒業生ビザ(485)や州推薦の対象になり得るかチェックする
- 学費、コース期間、卒業時の年齢などを比較して決定する
例えば調理分野を検討している人は、クッカリー留学からオーストラリア永住権を目指す流れも参考にしてください。
オーストラリアとカナダのどちらが向いている?

カナダが向いている可能性がある人
- カナダ国内で学歴と職歴を積みたい
- Express EntryやPNPを中心に検討したい
- 英語だけでなくフランス語も学ぶ選択肢がある
- 州や都市を柔軟に選べる
- カナダで専門職として就職できる見込みがある
- PGWP対象コースを慎重に選べる
カナダは、現地留学後に就労経験を積み、その経験をCECやPNPにつなげる設計を考えやすい国です。
ただし、PGWPの対象性や招待スコア、州推薦条件は変更されるため、「留学すれば永住権につながる」とは限りません。
オーストラリアが向いている可能性がある人
- 目指したい職業が明確
- 日本で関連する学歴や職歴がある
- スキル査定に必要な条件を満たせる
- 英語スコアを計画的に伸ばせる
- 州推薦やregional地域での就労を検討できる
- 卒業時の年齢から逆算して留学計画を立てられる
- ブリスベンやクイーンズランド州で専門資格を取得したい
オーストラリアは職業との適合性が重要ですが、目指す職業と必要資格が明確であれば、留学前から進路を逆算しやすい点が特徴です。
年齢・経歴別に考える国選び
| 現在の状況 | 比較するポイント |
|---|---|
| 20代前半で職歴が少ない | 両国の卒業後就労制度と、就職につながる専攻を比較 |
| 20代後半で専門職経験がある | カナダのCRS・PNPと、豪州のスキル査定・ポイントを比較 |
| 30代前半 | 卒業時の年齢、485の申請期限、カナダのCRS年齢点を比較 |
| 30代後半以降 | 留学期間だけでなく、雇用主スポンサーや州推薦の可能性を確認 |
| IT・看護・エンジニア経験がある | 資格登録、英語要件、スキル査定、州ごとの需要を比較 |
| 未経験分野へ転職したい | 卒業後に専門職として採用される現実性まで確認 |
| 大都市に住みたい | regional・地方州制度を利用しにくくなる可能性を考慮 |
永住権を考える場合の留学準備6ステップ
1. 年齢・学歴・職歴を整理する
まずは履歴書を作り、最終学歴、専攻、職歴、保有資格、英語力を整理します。
2. 両国で該当する職業を調べる
カナダではNOC・TEER、オーストラリアでは対象職業と査定機関を確認します。
3. 卒業後に必要な英語力を確認する
学校の入学条件だけでなく、卒業後ビザ、職業登録、スキル査定、永住権申請に必要な英語力も調べます。
4. 卒業時の年齢を計算する
コース期間、語学コース、入学待ち期間を含め、卒業後ビザを申請する時点の年齢を確認します。
オーストラリアの大学は入学時期によって卒業時期も変わるため、オーストラリア大学の入学時期と出願スケジュールも確認しておきましょう。
5. 永住権が取れなかった場合も考える
移民制度は卒業までに変わる可能性があります。
永住権を取得できなかった場合でも、日本や他国で活用できる資格、学歴、実務経験が残るコースを選びましょう。
6. 学校選びとビザ相談を分ける
学校・コース・学費・出願については留学エージェントへ、移民法上の申請可否については登録移民専門家へ確認することが大切です。
ビザ申請の基本的な流れは、オーストラリアのビザ申請方法・種類・手順でも解説しています。
よくある質問

オーストラリアとカナダでは、どちらが永住権を取りやすいですか?
一律には判断できません。
カナダはCRS、カナダ国内職歴、PNPなどが重要です。オーストラリアでは、対象職業、スキル査定、ポイント、州推薦などが重視されます。
年齢、職歴、英語力、希望職種を両国の制度に当てはめて比較する必要があります。
カナダには年齢制限がないため有利ですか?
オーストラリアの一部技能ビザや485のような年齢条件とは仕組みが異なりますが、カナダでも年齢はCRSに影響します。
年齢が上がる場合は、語学力、職歴、学歴、フランス語、州推薦などを含めて総合的に考える必要があります。
オーストラリア留学をすれば永住権を取得できますか?
留学だけで永住権を取得できるわけではありません。
対象職業、スキル査定、英語力、職歴、卒業後ビザ、州推薦、就職など、複数の条件を満たす必要があります。
ブリスベンで勉強すればregionalのポイントを利用できますか?
ブリスベンは移住制度上のregional地域には含まれません。
ゴールドコーストやサンシャインコーストには対象地域がありますが、実際の居住地・就労地・学校所在地の郵便番号と、申請するビザの条件を個別に確認してください。
国選びの前に何を確認すべきですか?
次の5項目を整理してください。
- 年齢
- 最終学歴
- 職歴
- 現在の英語力
- 将来就きたい職業
そのうえで、カナダのExpress Entry・PNPと、オーストラリアの職業リスト・スキル査定・州推薦を比較します。
まとめ|学校を決める前に、卒業後の職業から逆算しよう

オーストラリアとカナダのどちらが永住権を目指しやすいかは国名だけでは決まりません。ブリスベン留学では地方エリア外の特性や州推薦の変更点に注意が必要です。留学は、将来の職業決定から逆算し、必要な資格・学校選び、卒業後ビザの検討という順番で計画しましょう。
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