オーストラリア留学やワーホリでは現地の銀行口座が不可欠ですが、開設時期や本人確認方法は銀行により異なります。
「入国後ならパスポートだけで作れる」とは限らず、住所や携帯番号等が必要です。本書では2026年7月時点の公式情報をもとに、口座開設の方法や必要書類、銀行選びの注意点、ブリスベン到着後の手続き順序を解説します。
オーストラリアの銀行口座はいつ作る?

結論からいうと、渡航前に利用する銀行を決めておき、オーストラリア到着後の早い段階で本人確認まで済ませるのがおすすめです。
銀行によっては渡航前にオンライン申込を開始できますが、申込だけで全機能を利用できるとは限りません。オーストラリア到着後に支店へ行き、パスポートなどを提示して本人確認を完了させる必要があります。
ブリスベンに到着したら、次の順番で手続きを進めるとスムーズです。
- オーストラリアのSIMまたはeSIMを開通する
- 銀行口座の申込・本人確認を行う
- デビットカードの郵送先を確認する
- TFNを申請する
- 銀行アプリとオンラインバンキングを設定する
- 給与振込先を勤務先に提出する
学校のオリエンテーションや住まい探しが始まると忙しくなるため、できれば到着後1週間以内を目安に進めましょう。
最初に知っておきたい銀行口座の種類
留学生やワーホリの人が主に利用するのは、次の2種類です。
| 口座の種類 | 主な用途 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| Transaction account/Everyday account | 給与受取、買い物、家賃、ATM利用 | 月額手数料、ATM手数料、海外取引手数料 |
| Savings account | 貯蓄、利息の受け取り | ボーナス金利の条件、出金条件、連携口座 |
日常生活では、まずTransaction accountまたはEveryday accountと呼ばれる普通預金口座を開設します。
Savings accountは貯蓄用の口座です。一定額を毎月入金する、月内の出金回数を制限するなど、条件を満たした場合に追加金利が適用される商品もあります。
オーストラリア政府の金融情報サイトMoneySmartも、銀行口座を選ぶ際には月額口座維持費、ATMや支店の利便性、残高不足時の手数料、海外取引手数料などを比較するよう案内しています。
オーストラリアの主要銀行4行を比較
オーストラリアで代表的な大手銀行は、次の4行です。
- Commonwealth Bank(CommBank)
- Westpac
- National Australia Bank(NAB)
- Australia and New Zealand Banking Group(ANZ)
どの銀行も広く利用されていますが、渡航前に手続きを始められるか、到着後に支店へ行く必要があるかなどが異なります。
| 銀行 | 渡航前の手続き | 到着後の主な手続き | 注意点 |
|---|---|---|---|
| CommBank | 到着予定日の14日前からオンライン申込が可能 | 支店でパスポートと税務居住情報を提示 | 開設後20日以内の本人確認が必要。Visitor Visaの一部は対象外 |
| Westpac | 到着予定日の14日前から申込を始められる場合がある | オンラインまたは支店で本人確認 | 一時滞在先を含むオーストラリア住所が必要 |
| NAB | 原則として到着後に手続き | 支店で口座開設と本人確認 | 6か月以上の滞在予定、有効なビザ、住所、携帯番号が必要 |
| ANZ/ANZ Plus | 商品によって異なる | アプリまたは支店で手続き | ANZ Plusはオーストラリア住所と対応する本人確認書類が必要 |
CommBank
CommBankでは、オーストラリア到着予定日の14日前から、または入国後12か月以内であれば、新規到着者向けの口座をオンラインで申し込めます。
ただし、口座を利用するには、開設後20日以内にオーストラリア国内の支店で本人確認を完了する必要があります。本人確認が終わるまでは、入金や買い物などの機能を利用できません。
また、Visitor VisaのSubclass 600、601、651は対象外と案内されています。
Westpac
Westpacでは、オーストラリア到着予定日の14日前から、Westpac Choice accountの手続きを開始できる場合があります。
申込時には、一時滞在先を含むオーストラリア住所を準備します。到着後は本人確認が必要です。オンライン本人確認の対象国が限られているため、日本のパスポートを使用する人は、支店での確認を想定しておくとよいでしょう。
NAB
NABは、2026年7月時点では、オーストラリア到着後に支店で口座を開設する方法を案内しています。
留学生の場合は、有効なビザを持ち、オーストラリアに6か月以上滞在する予定であること、オーストラリア住所と携帯番号があることなどが主な条件です。
支店には、外国のパスポート、ビザのコピー、持っている場合は外国の運転免許証を持参します。観光ビザやVisitor Visaは対象外と案内されています。
ANZ・ANZ Plus
ANZには、一般的なANZ口座と、アプリを中心に利用するANZ Plusがあります。
ANZ Plusを利用するには、15歳以上であること、オーストラリアの居住住所があること、有効な本人確認書類を持っていることなどが条件です。国際パスポートも本人確認書類として案内されています。
ANZ Plusは支店で申し込む商品ではないため、スマートフォンのアプリ環境やSMSを受信できる携帯番号も確認しておきましょう。
銀行口座開設に必要なもの

銀行によって細かな条件は異なりますが、一般的には次のものを準備します。
| 必要なもの | 主な用途 | 準備時の注意点 |
|---|---|---|
| パスポート | 本人確認 | 支店では原本を求められることが多い |
| ビザ情報 | 滞在資格の確認 | ビザの種類と有効期間を確認する |
| オーストラリア住所 | 本人確認、カード郵送 | 短期滞在先を使えるか銀行に確認する |
| オーストラリアの携帯番号 | SMS認証、アプリ設定 | 到着後にSIMまたはeSIMを開通する |
| メールアドレス | 申込確認、通知受信 | 渡航後も利用できるアドレスを使う |
| TIN | 海外の税務居住情報 | 日本の税務番号を確認できるようにする |
| TFN | 利息に関する税務手続き | 取得後に銀行へ登録する |
TINとTFNの違い
TINはTax Identification Numberの略で、各国の税務上の識別番号を指します。銀行から海外の税務居住情報を確認される際、日本の税務番号に関する情報を求められることがあります。
一方、TFNはTax File Numberの略で、オーストラリア税務局が発行する税務番号です。
TFNがなくても銀行口座を開設できる場合がありますが、銀行へTFNを登録していないと、口座に付いた利息から高い税率で税金が差し引かれる可能性があります。TFNを取得したら、銀行アプリやオンラインバンキングなどから登録しましょう。
「入国後6週間以内ならパスポートだけ」は本当?
オーストラリアの銀行口座については、「入国後6週間以内ならパスポートだけで開設できる」という説明を目にすることがあります。
しかし、すべての銀行に共通する公式ルールとして考えるのは避けた方がよいでしょう。
現在の銀行公式情報では、パスポート以外にも、次の情報や書類を求められる場合があります。
- ビザの種類と有効期間
- オーストラリアでの滞在予定期間
- オーストラリア住所
- オーストラリアの携帯番号
- 税務居住国
- TIN
- 追加の本人確認書類
そのため、「6週間以内なら必ず簡単に作れる」「パスポートだけで必ず開設できる」とは限りません。
到着日を証明できる情報を準備したうえで、希望する銀行の最新条件を確認し、到着後できるだけ早めに手続きするのが安全です。
オーストラリアで銀行口座を開設する流れ
1.渡航前に銀行を比較する
まずは、次の項目を基準に銀行を比較します。
- 渡航前に申込を始められるか
- 自分のビザで開設できるか
- 月額口座維持費がかかるか
- 学生や年齢による手数料免除があるか
- ATMや支店を利用しやすいか
- デビットカードをいつ受け取れるか
- 銀行アプリを使いやすいか
- 海外送金の受け取りに対応しているか
ブリスベン中心部で生活する場合は大手銀行の支店を見つけやすい一方、郊外や地方へ移動する予定がある人は、ATMや支店の利用範囲も確認しておきましょう。
2.SIMまたはeSIMを準備する
銀行口座の開設やアプリへのログインでは、SMSによる認証が行われることがあります。
日本の電話番号だけでは登録できない場合があるため、ブリスベン到着後は、オーストラリアの携帯番号を早めに用意しましょう。
3.オンラインまたは支店で申し込む
銀行によって、オンライン申込と支店申込のどちらを利用するかが異なります。
オンラインで申し込む場合は、氏名をパスポートと同じ順番・表記で入力してください。ミドルネームや旧姓を省略すると、本人確認に時間がかかる可能性があります。
4.本人確認を完了する
口座を申し込んだだけでは、すべての機能を使えない場合があります。
支店へ行く場合は、パスポートの原本、ビザ情報、住所、携帯番号、税務情報などを準備します。銀行によっては予約が必要になるため、訪問前に営業時間や予約方法を確認しましょう。
5.デビットカードを受け取る
デビットカードは、登録した住所へ郵送される場合があります。
ホームステイや学生寮、ホテルなどの一時滞在先を登録するときは、次の点を確認してください。
- 自分宛ての郵便物を受け取れるか
- チェックアウト後も保管してもらえるか
- カード到着前に転居する可能性がないか
- 部屋番号やユニット番号に誤りがないか
引っ越した場合は、銀行に登録している住所も速やかに変更しましょう。
6.アプリとカードの設定を行う
カードを受け取ったら、銀行の案内に従って有効化します。
あわせて、次の項目も設定しておくと安心です。
- PIN
- 2段階認証
- 取引通知
- 低残高アラート
- 1日あたりの送金上限
- カードの海外利用設定
- オンライン決済の利用設定
7.勤務先へ給与振込情報を提出する
オーストラリアで給与を受け取る際は、一般的に次の情報を勤務先へ提出します。
- Account name
- BSB
- Account number
数字を間違えると給与の受け取りに影響するため、銀行アプリに表示される情報を確認して提出しましょう。
銀行選びで失敗しないための注意点

月額手数料が「条件付き無料」ではないか確認する
口座維持費が無料と表示されていても、年齢、学生資格、毎月の入金額などの条件が設定されている場合があります。
渡航時は無料でも、年齢が上がったときや学校を卒業した後に手数料が発生することもあるため、免除条件まで確認しましょう。
ATMの数だけで選ばない
銀行を比較するときは、ATMの設置数だけでなく、他行ATMを利用した場合の手数料や、現金を入金できる場所も確認します。
ワーホリ中にブリスベンから地方へ移動する可能性がある人は、地方で利用できるATMやBank@Postなどのサービスも比較材料になります。
残高不足による引き落とし失敗に注意する
家賃、携帯料金、保険、動画配信サービスなどを自動引き落としにしている場合、残高不足によって支払いができないことがあります。
口座によっては、残高を超えて支払うオーバードラフトが発生し、手数料や利息がかかる可能性があります。低残高通知を設定し、引き落とし日前に残高を確認しましょう。
海外送金は手数料だけで比較しない
日本からオーストラリアへ送金するときは、表示される送金手数料だけでなく、次の費用も確認します。
- 為替レートに含まれる上乗せ
- 中継銀行手数料
- 受取銀行側の手数料
- 着金までの日数
- 送金限度額
銀行の国際送金以外にも海外送金サービスがありますが、どの方法が有利かは送金額や為替レートによって変わります。「手数料無料」という表示だけで判断せず、最終的に何豪ドルを受け取れるかで比較しましょう。
預金はどこまで保護される?
オーストラリアには、Financial Claims Scheme(FCS)という預金保護制度があります。
対象となる認可預金取扱機関では、1人の口座名義人につき、1つのADI当たり最大25万豪ドルまでの対象預金が保護されます。
注意したいのは、銀行のブランド名とADIが必ずしも同じとは限らないことです。同じADIが複数のブランドで口座を提供している場合、ブランドごとではなくADI単位で上限が計算されます。
一般的な留学生やワーホリの生活資金で上限を超えるケースは多くありませんが、多額の資金を保管する場合は、利用する金融機関がFCSの対象か確認しましょう。
銀行を装った詐欺にも注意する
口座開設後は、銀行を装ったSMSや電話、メールにも注意が必要です。
Australian Banking Associationは、銀行が次のような行為を求めることはないと案内しています。
- 突然のSMSやメールで口座情報を聞く
- パスワードやワンタイムコードを聞く
- 別の口座へ資金を移すよう指示する
- スマートフォンやパソコンを遠隔操作する
- すぐに対応しなければ口座を停止すると脅す
SMSやメールに記載されたリンクからログインせず、銀行の公式アプリを直接開いて確認しましょう。
不正送金や情報漏えいの可能性がある場合は、すぐに銀行へ連絡し、取引の停止を依頼します。必要に応じてScamwatchにも報告してください。
ブリスベン到着後の銀行口座開設チェックリスト
| タイミング | やること | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 渡航前 | 利用する銀行を比較する | ビザ条件、申込時期、手数料 |
| 到着当日〜数日 | SIM・eSIMを開通する | SMSを受信できる状態にする |
| 到着後1週間以内 | 口座開設・本人確認 | パスポート、ビザ、住所を準備 |
| 1週間前後 | カード郵送先を確認 | 転居予定と郵便物の受取可否 |
| カード到着後 | カードとアプリを設定 | PIN、通知、利用限度額 |
| 到着後早め | TFNを申請する | 取得後に銀行と勤務先へ登録 |
| 仕事決定後 | 給与振込情報を提出 | BSBと口座番号を確認 |
まとめ|渡航前に銀行を比較し、到着後は早めに本人確認を済ませよう

オーストラリアの銀行口座は、給与の受け取りや家賃の支払い、日常の買い物など、留学・ワーホリ生活に欠かせないものです。
銀行によって、渡航前に申し込めるか、どのビザが対象になるか、どの本人確認書類が必要かは異なります。「パスポートだけで作れる」と決めつけず、利用予定の銀行が案内する最新条件を確認しましょう。
ブリスベン到着後は、携帯番号の取得、銀行の本人確認、カードの受け取り、TFN申請、アプリ設定の順に進めると、生活をスムーズに始められます。
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